現在、鴨江アートセンターのロビーでは作品展『桂川美帆 染色作品展 “染む”』が開催されています。
アーティスト桂川美帆さんは日本最古の防染技法である「ろうけつ染」という表現手法で作品を制作されています。
今回の作品展では様々な遠州織物の生地を染めあげることで、新しい遠州織物の世界を表現されています。
さて、あまり耳馴染みのない「ろうけつ染」。
"日本最古の技法"なんて言われると何やら高尚な、素人を寄せ付けないような作品か? と思えば、透き通った瑞瑞しい色が光に映える美しい作品で、染色という技法について詳しくないjimottomall編集長タテイシもその色にウットリしてしまいます。
パっと目に映る大きな布以外にも、ロビーのいたるところに桂川さんの作品が。
みんなが腰掛けてちょっと疲れてしまった椅子には、磐田市の別珍(コーデュロイと並んで磐田市名産の毛織物)という布を染色した生地が貼られています。
ロビー出入口のガラス窓には布みみ(普段は廃棄されてしまうもの)という布の端を切った素材を植物のように飾ったもの。普段は見向きされないような素材も生き生きと飾られています。普段はこのような素材を目にすることは少ないですが、綺麗に染まって飾られるとステキって感じますね〜。
「遠州織物ってなんですか?」ちょうど会場にいらした方が桂川さんに聞いていました。
そう、若い世代には既に馴染みが薄いんですよね。
静岡県西部遠州地域は、日本有数の綿花の産地でした。やがて繊維産業がこの地で発展し日本有数の繊維の街として栄えたのですが、近年では安価な海外製品などに市場を押され、今では後継者がいなかったり工場が廃業したりと衰退の道を歩んでいます。
とはいえ、何年も技術を積み上げてきた高い技術力は凄まじいもの。
優雅に風に揺れる布の彩を楽しんだ後は、近くに行って布の表情を楽しんでいただくことをオススメします。
素人目に見てもわかる「なんだこりゃ〜」というほどの緻密な世界、豊かな生地の表情。
身近に遠州織物というすごい文化があったことに改めて驚く瞬間です。
さて、ろうけつ染の魅力を堪能したものの、この布をどのように生活に取り入れていくのでしょう。
布といえば服の生地やカーテンなどをまず思い浮かべてしまいますが、桂川さんの作品は絵のように壁に飾ったり、ノートにしたりと様々な形で生活に寄り添う作品を提案してくれます。
(ちなみにこちらのノートは、以前にもこのサイトで紹介した村上製本さんとのコラボで作られたノートです。)
jimottomall編集長タテイシは桂川さんの作品のファンなのですが、さすがに服などに取り入れることは派手すぎるなぁ〜とか思っていたのですが、こういう小物であればいつも置いておけるし、生活がウキウキしそうですね。
壁に飾ってもステキ!!
会期中、作家在廊日(10月31日・11月3日・7日・10日予定)のみ、ろうけつ染の仕組みにふれることができるスペースが設けられるそうです。
「ろうけつ染」とは…溶かした蝋を筆につけて模様を描き、塗料で染色したあとに蝋を洗い流す…。う〜ん…正直なところ言葉で言われても難しそうでわからないのですが、実体験するとシンプルでわかりやすいそうです。
お子様連れもどうぞ、ご心配なく。ぜひこの機会に体験してみてください。
桂川美帆
桂川美帆 染色作品展 “染む” 2021年10月30日(土)〜11月14日(日)
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